謹賀新年

昨日の強風のせいか、県道沿いの竹が1本、斜めに道路へ倒れこみ、折れた先端が簾のように上かぶら下がっていた。道は急坂。私は自転車で下る途中だった。

車が竹を弾き、乾いた音を立てて過ぎて行った。それを避けようと後続の車が、反対車線ぎりぎりに膨らんだ。

(これは危ないな)と私は想った。

人身より車の些細なキズを気にする輩もいる。

そこに二人組の少年が、坂の下からやはり自転車で上って来た。彼らとすれ違い、私は振り返った。少年達は自転車を止め、迫り出した竹を何とかしようとする様子だったのである。

(しまった、先を越される!)

私は努めて大人の余裕をかましながら近づいて行った。無言。

竹の先端ばかりを見ている少年らを尻目に、大人はまず竹の根元を検討しにかかった。問題解決は根本からだ。

根本は丈夫そうで、折ることは難しいかに見えた。それで中途で折れないかと私は竹に飛び付き、しならせた。

「おい、三人でぶら下がろうぜ」

と提案する間もなく、「バキッ」と大きな音をたてて竹が折れた。大人は、尻餅をついた。

「大丈夫ですか!」と、慌てて気遣う少年。

「俺は大丈夫。こいつを横に寄せよう」竹を折った私は、少年達に指図したのである。折れた竹が歩道の奥の竹林に押し込まれたのは、少年達の仕事だ。

「正月早々、良いことをしたな?」

野球帽の少年に、私は言った。

「はい!」間髪もない彼の返答に私は満足した。眉のはっきりとした、美しい肌の少年だった。

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